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2022-01-25

Hedebo(ヘデボー)の超おすすめ本:佐藤ちひろさんのHedebo

大好きな佐藤ひちろさんの新しいHedeboの本がとっても素晴らしいのでご紹介です。

12月に発売でしたので、私も早速日本のアマゾンより取り寄せました。

日本のアマゾンでお買い物をすると、早いと中2日でコペンハーゲンに到着するのですが、12月は世界的に郵送量の多い時期なので2週間くらいかかりました!

表紙もステキなこちらの本です。

他のHedeboの本に比べて、針の動かし方がかなり丁寧に書かれています。

作品のテイストも私はすごく好みです。

本物って感じがして、何度も何度も穴があくほど見ちゃいます😍

やっぱりデンマークで習った人とそうでない人って作品がまとう雰囲気が全然違うんですよね。

先日、スイス・ジュネーブ在住のピアニストの岡田真季さんと「留学」についてのインスタライブをしました。

真季さんはパリにピアノ留学をしていて、私はデンマークに刺繍留学をしたので、「留学で学んだこと」についてライブをしたのですが、やっぱりヨーロッパのこの「空気」を感じれたことがよかったという結論に至りました。

話が逸れましたが、佐藤ちひろさんのこの本はわかりやすいというだけではなく、デンマークの空気を感じることができる本だと私は思います🇩🇰

Hedeboって華やかの中に素朴さもあって、その混ざり具合がすごくステキな刺繍だと思うのですが、佐藤ちひろさんの作品はその加減が絶妙なんですよね。

デンマークのデザインによくある削ぎ落とされた中の洗練された美しさがHedeboにもあると感じます。

Greve美術館で実際の生活の中でどうやってHedeboが使われてきたかという展示を見たり、美術館の方ややHedeboの先生たちから直接お話を聞いたりすると、なぜこんなデザインになったのかが理解できると思うのですが、佐藤ひちろさんはそういうことも含めて作品をデザインしていると思うのでHedeboの良さを全面に出した素晴らしい作品ができるんだな〜って思いました。

Hedeboの歴史についても数行ではありますが、書いてあります。私が以前にブログでご紹介したコペンハーゲン市庁舎のHedeboの図案についても言及されていました!

そして、もう1つこの本で感激したところ。

それは「製作協力」の項目がないところです。刺繍本の一番最後のページを見ると発行人とか撮影した人、本の制作に関わった人たちの名前が載っているのですが、製作協力という項目がないんです。

なので、きっとこの本に掲載されている作品は全て佐藤ひちろさんご自身が作られたのだろうと想像します。

他の刺繍本は「製作協力」に数名の名前が載っていることが多く、「あー、この先生知ってる〜🎶」と習ったことがある先生の名前を探したりしながらつい見てしまうのですが、佐藤ちひろさんの本は(全部持っているわけではないですが)ご自身が刺されている感じなので、ご本人のステッチなんだな〜ってうっとりしながら見てしまいます。

優しいステッチで眼福💜

ちなみに、私が今作っているHedebo講座に「Hedeboと白糸刺繍の歴史」についてのテキストをおまけとしてつけるのですが、1万文字位書いてしまいました🤣(卒論が1万2千字だったので、卒論レベルw)

Hedeboのように1つの刺繍で時代によって技法が変わっていく刺繍はとってもめずらしいのですが、その理由も面白いです。

Hedebo発祥の地は土壌が豊かで(デンマークの農地コンテスト1位)コペンハーゲンから30キロ(今だと特急電車で1駅)と都心に近く、たくさん農作物がとれてたくさん売ることができたので、農家とはいえ比較的裕福な生活ができていました。

とはいえ、当時の生活を再現した野外博物館で見ましたが、フランスやイギリスの当時の中産階級とはほど遠い生活です。

デンマークの中では比較的裕福で、女性が家の中にいることができたので刺繍が発展しました。

イギリスで産業革命が起き、その後ヨーロッパ各地で裕福の人たちが増えたことで、コペンハーゲンにもお金を持った人たちが増えていきます。Hedeboの技法の歴史を見ると産業革命とがっつりかぶっているのも面白いところ。

コペンハーゲンの裕福な人たちは乳母やメイドを雇うようになり、地方の女性たちもコペンハーゲンに進出することがブームになり、地方出身の女性たちがコペンハーゲンで仕事をするようになります。

Hedebo発祥のヒースの女性たちは土壌が良い土地で、良い物を食べて育ったので母乳がよく出たため、乳母として重宝されます。乳母の地位は他の使用人より高かったため旅行にも同行することが多く、旅行先で見た刺繍やおうちに飾られている織物などをHedeboに落とし込んでいたため、Hedeboにはたくさんの技法があると言われています。

白糸刺繍の歴史もすごく面白いし、時代背景を知ることで作品にも奥行きが出ると思います。その刺繍の背景を知っているのと知らないのとでは、デザインや素材の選び方にも違いがでると思うのです。

英国王立刺繍学校でも刺繍の歴史の単発の講義があり、何度か受講しています。その内容もブログにまとめないと!キリスト教の歴史と西洋史、おもにイギリス史の講座も受講しているのですが、これもすごく面白いので講座が修了したらまとめてみようと思います。

刺繍はステッチをきれいに刺す練習も楽しいけれど、背景を探るのもとっても楽しいです!

刺繍本は重版がかからないことが多いので、売っているうちに購入するのを強くお勧めします⬇︎

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